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一九四九年四月に一ドル=三六○円でスタートした時点では、経済の実力と比較して円が高すぎてとても経済が持たないと考えられた。
しかし一○年、二○年と経過するうちに日本経済が驚異的な成長を遂げ、円は実力以下に過小評価されているという見方が強まり、円の切上げ圧力がしだいに強まっていった。
その結果、七一年八月にN大統領による「金とドルの交換停止」によって、一ドル=三六○円体制が崩壊し、その年の三月のスミソニァン会議で固定相場制が復活して三○八円となったが、これも短期間で維持不可能となり、七三年二月には変動相場制に移行した。
その後は二回の石油ショック、プラザ合意などがあり、円は翻弄されたが、しだいに切り上がり、九五年四月には史上最高の七九円台をつけている。二○○六年二月末では一一五円前後となっている。
半面、円はユーロに対して一ユーロ=一五二円と近年目立って下落している。このように、円はドルに対して趨勢的に上昇してきたものの、最近はやや円安であり、ユーロに対しては大きく下落している。

各国との貿易取引高を加味した円の実質レート(実質実効レートという)は近年実際の円レートよりも大きく減価している。この理由としては、アメリカ、ヨーロッパと比べて、日本経済の成長率、財政、物価などの基礎的条件の優越性にやや偏りが見えていることがある。
イギリス・ポンドは衰退の象徴的な例だ。ポンドは戦後のインフレと経済停滞によってしだいに減価し、変動相場制下の八五年二月には一ドルに限りなく接近した。
日本円との関係を見ると、ポンドは国際収支の基礎的不均衡を理由として、固定相場制下の六七年に切下げを実施したが、それ以前は一ポンドが一○○八円であった。八五年二月末には二七一円をつけた。
現在はイギリス経済に復活の兆しが見えるが、二○○円前後で推移している。イギリス・ポンドの凋落は、イギリス経済の基礎的条件の悪化を反映したものだ。
ポンドの動きを見るかぎり、第二次世界大戦前の大英帝国の栄光の面影はまったく消えてしまった。このように、一国の経済の実力は通貨の動きに集約的に現われている。

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